何十人かのクラスの児童生徒。家庭の経済力も育つ環境も違います。
 収入や支出や、家計のなりたちの学習に入り始めると、自分の育ちを考え、
 何らかの気持ちが芽生えてくることもあるでしょう。
 また、こづかい制など、親が理解し動いてくれないと始まらないことも
 あります。
 
 子どもへの気配りと、保護者への声かけは別に考えます。
 また、学校だからということではなく、地域社会での活動のときも同じで、
 劣等感などを感じさせない配慮は大切だと考えています。
 
 ただ、こちらがあまり深刻に考えこむと暗く、難しくなってしまいます。
 子どもたちが、将来を明るく考えられるように授業やワークをリード
 できる方法を考えることが大事でしょう。
 
 
 授業研究事例で全員が定額のづかいをもらい、その中から買い物をしに
 出かけたり、こづかい帳をしっかり書かせたケースを見せてもらいました
 が、小さな小学校なので、保護者がまとまっているのでできました、と
 先生が言っておられました。
 
 「定額のこづかい制」を教材として、クラス全体の学習に使えると考えて
 くださったのですが、保護者に提案できなかった先生もいました。
 こづかいをもらえないかもしれない子どもがいたからです。
 
 現実は、施設から通ってくる子もいますし、生活保護を受けている家庭の
 子どもたちもいます。
 クラスの全員にこづかい制を始めましょう言うのは難しいと思います。
 
 シミュレーションでのこづかいの使い方学習は授業でもOKです。
 子どもたちは学び合います。こづかい帳の書き方もマスターします。
 
 また、指導する内容が、子どもが考えたり努力ができることか、
 保護者に考えてもらわなければならない項目かで違ってきます。
 
 私が関わらせてもらうときは、子どもたちへの配慮として、親の経済力
 を意識させるようなことを言わないように心がけています。
 
 例えば、こづかいを上手に使うってどんなことかを話すときも、
 今はもらっていなくても、いつか任せてもらうときがきたり、
 大人になって自分で生活をしなくてはいけないときも同じだから
 そのときのことを思って一緒に考えてね、と言います。
 
 いろんなことを考えていると金銭教育は難しくなります。ですから、
 お金の流れ、お金の役割、限られたお金のやりくり、記帳、仕事と収入
 など、子どもが興味を持ち、考え、自分で調べる方向にもっていく授業
 にするといいと考えています。
 
 先生個人の価値観の押し付けにならないようには、気をつけなくては
 いけないですね。
 
 やるかやらないか保護者が決めることなら、
 保護者に向かって、直接伝えなくては伝わらないでしょう。
 学校では、集団だからこそ学べるお金の教育があり、いろんな性格、
 考え方を見ながら子どもたちが学び合うことの重要性を話します。
 
 そして、お金の教育の基本は家庭だとしっかり伝えます。
 
 「こづかい制」は、親が口出しを控え見守れば、本物のお金を使って
 本物の体験ができる方法であり、子どもの性格がつかめたり、
 こづかい帳を使ってコミュニケーションが取れる優れものであること、
 
 こづかいを使って、買いものの選択権を子どもに任せることは、
 「育む教育」なのだ、と伝えていただきたいと思います。
 
 まだまだお金の教育が始まったばかりで、親も先生もどんな教育なのか
 分かっていない時期でもあります。
 お金の教育が根付くまではもう少しでしょうが、みなが必要だと思って
 いる教育でもあります。すぐに実践事例が増えてくると思います。
                          (回答 陣内恭子)

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生きる力 を お金、経済の視点からアプローチ。幼児期の子どもたちから大人まで広く奥の深い「お金の教育」を研究、提案、実践しています。

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