福祉の心を育てる金銭教育
マネーじゅく代表 陣内恭子
3月11日以降、地震の報道を見聞きしながら、誰しも自分に何ができるか考えたことだろう。被害にあわれた方への寄り添い方は募金、寄付、ボランティア活動などさまざまだが、今後の金銭教育活動で「福祉」を正面から扱うテーマの一つとしたいと考えている。
お金の教育とは金銭管理やお金を増やす教育だけではない。社会に貢献し稼ぎ、得たお金をどのように使うかはその人の生き方そのもの。子どもの頃から必要なものと欲しいものを考えさせたり、福祉の視点、つまり人間が平和で安心して過ごせる生活環境をつくるためにお金を使うことなどもしっかりと教えよう。
さる2月26日、神戸市の長田郵便局で約50組の親子が参加して「親子金融教室」が開催され、ワークショップの講師を担当した。16年前の震災を体験していない小学生が対象だったので、赤い羽根や年末の助け合いの募金、募金活動などをイメージした「寄付の選択」を入れ込んだ。寄付に関するシミュレーションは、全国どの会場でも、親子は似た選択をする傾向にある。テレビ広告で頻繁に見る宮澤章二氏の『行為の意味』にある「 こころ はだれにも見えないけれど こころづかい は見えるのだ。思いは見えないけれど 思いやりは誰にでも見える。人に対する積極的な行為なのだから・・」今、しっかり人として生きる大人の姿を見せたいものだ。
平成23年度、新しい学習指導要領がスタートした。小学校の「道徳」には、金銭教育で扱える内容が多い。例えば一、二学年では、物や金銭を大切に、生命を大切にする、約束や決まりを守り物を大切にする、みんなのために働く。三、四学年では、働くことの大切さを知り進んでみんなのために働く。五、六学年は、働くことの意義を理解し、社会に奉仕する喜びを知って公共のために役に立つこと、など。自分自身のことから集団や社会とのかかわりを、学年が進むとともに広く深く学んでいくカリキュラムだ。
現在は、知識中心の学習に偏りがちな教育だが、さまざまな家庭環境にいる子どもたちがともに学ぶ学校教育の中で、福祉の心を育み、自立できるための生活技術力を鍛えていただきたい。
私自身は、今後、継続した支援の必要性を伝えるとともに、子どもたちと福祉を柱にした金銭教育プログラムを作り上げたいと考えている。
(2011年4月13日コラムに加筆)
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コラム中に一部を引用させていただいた【行為の意味】をご紹介
あなたの「こころ」はどんな形ですか
と ひとに聞かれても答えようがない
自分にも他人にも「こころ」は見えない
けれど ほんとうに見えないのであろうか
確かに「こころ」はだれにも見えない
けれど「こころづかい」は見えるのだ
それは 人に対する積極的な行為だから
同じように胸の中の「思い」は見えない
けれど「思いやり」はだれにでも見える
それも人に対する積極的な行為なのだから
あたたかい心が あたたかい行為になり
やさしい思いが やさしい行為になるとき
「心」も「思い」も初めて美しく生きる
それは 人が人として生きることだ
宮澤章二(みやざわしょうじ)